【冬のTDS管理】レッドビーシュリンプの水槽は冬こそ濃くなる|蒸発と足し水の落とし穴

シュリンプ

こんにちは!ピロです

ヒーターを入れて水温が安定すると、ひと安心しますよね。実際、冬は夏のように水温と戦わなくて済むので、管理そのものは楽になります。

ただ、ここに落とし穴があります。「冬は水が汚れにくい」というのは誤解です。水温が安定しているぶん見落とされやすいのですが、加温した水槽では冬のほうが水が濃くなっていくことがあります。

原因は蒸発と足し水です。しかもこれは、毎日見ていても気づけません。測らないと分からない種類の変化だからです。

この記事では、冬にTDSが上がる仕組みと、あなたの水槽で本当に起きているかを確かめる手順をまとめます。我が家でも今シーズンから記録を始めたところなので、実測値は揃い次第この記事に追記します。

なぜ冬にTDSが上がるのか

足し水では、溶けているものは出ていかない

まず押さえておきたいのが、蒸発するのは水だけだということです。

水槽の水には、ミネラル、硝酸塩、ソイルから溶け出した成分などが溶けています。水が蒸発しても、これらは一緒に出ていきません。水槽の中に残ります。

つまり蒸発するたびに、同じ量の溶存物が、より少ない水に溶けている状態になります。これが濃縮です。

ここで足し水をすると水位は戻りますが、溶存物の総量は減っていません。水換えなら汚れた水ごと捨てるので総量が減りますが、足し水は薄めているだけです。

足し水に使う水にも、TDSがある

ここが見落とされやすいところです。

カルキ抜きした水道水で足し水をしている方が多いと思いますが、水道水そのものにもTDSがあります。地域差が大きく、実際に測ってみないと分かりません。

そして足し水をするたびに、その分のTDSが水槽に加算されていきます。出ていく経路がないので、足せば足すほど積み上がります。

数字で見るとこうなります

30cm水槽(水量およそ12L)で、1週間に1L蒸発し、TDS 60ppmの水道水で足し水をした場合を計算してみます。水換えはせず、足し水だけで済ませたという想定です。

経過飼育水のTDS状態
開始時140ppm適正
1週間後145ppm適正
2週間後150ppm上限
3週間後155ppmやや高い
4週間後160ppm水換えを前倒しする水準
6週間後170ppm危険域
蒸発量と水道水のTDSは環境によって変わります。考え方を示すための試算です。

週に5ppmずつ。1週間では誤差のように見える変化ですが、1か月でちょうど警戒ラインに届きます。

怖いのは、この間に見た目が何も変わらないことです。エビは元気に見えるし、水も濁りません。TDSメーターを当てた日に、初めて気づくことになります。

冬のほうが蒸発しやすい理由

「蒸発といえば夏」という感覚があると思います。実際、夏は冷却ファンを回すので蒸発量が増えますし、それを意識して足し水をします。

ところが冬には、蒸発を促す条件が3つ重なります。

  • ヒーターで水温が高く保たれている:外気が冷たいほど水面との温度差が大きくなります
  • 暖房で室内が乾燥している:空気が乾いているほど水は蒸発します
  • 暖房の風が水面に当たる:エアコンやファンヒーターの位置によっては、冷却ファンと同じ状態になります

そして夏と違って、冬は蒸発を警戒していません。ここが本当の問題です。

夏冬(加温)
蒸発の主因冷却ファン加温+室内の乾燥
蒸発への意識高い低い
水換えの頻度保ちやすい億劫になりがち
結果管理されやすい静かに濃縮する

冬は水が冷たくて水換えが面倒になり、つい足し水で済ませたくなります。この行動と、冬の蒸発量が組み合わさったときがいちばん危ないと考えています。

レッドビーにとって何が問題なのか

当ブログでは飼育水のTDSを通年130〜150ppmを目安にしています。季節で変える必要はありません。

この帯から外れて濃くなっていくと、レッドビーには次のような影響が出ます。

起きることなぜ
脱皮不全ミネラルバランスが崩れ、殻がうまく脱げなくなる
抱卵が減る水質の変化に敏感なメスが抱卵をためらう
脱卵抱卵中のメスは特に環境変化の影響を受けやすい
稚エビが育たない生まれたての稚エビは水質変化に極端に弱い

脱皮不全については脱皮不全を防ぐ水質管理の記事で詳しく書いています。

もうひとつ、水量が少ない水槽ほど影響が大きいという点があります。同じ1Lが蒸発しても、12Lの水槽と57Lの水槽では濃縮の速さがまったく違います。

ただし大きい水槽は水面も広いので、蒸発量そのものが増えます。どちらが危ないかは一概に言えません。だからこそ、自分の水槽で測る必要があります。

あなたの水槽で確かめる手順

ここからがこの記事の本題です。濃縮が起きているかどうかは、環境によって変わります。部屋の乾燥具合、暖房の種類と位置、水槽のサイズ、フタの有無。どれひとつとして同じ家はありません。

だから「冬はTDSが上がるらしい」で終わらせず、自分の水槽で測ってしまうのがいちばん早いです。4週間あれば判定できます。

用意するもの

  • TDSメーター:これがないと始まりません
  • 水位の目印:養生テープやマスキングテープで十分です
  • 記録するもの:スマホのメモでもノートでも

▼水温も一緒に測れるタイプが便利です

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ステップ1:足し水に使う水のTDSを測る

最初に1回だけ、足し水に使っている水そのものを測ってください。カルキ抜きした水道水なら、その水です。

この数字を知らないと、あとの判定ができません。ここが0に近いのか、80ppmあるのかで、話がまったく変わります。

ステップ2:水位の基準線を決める

水換え直後の水位に、水槽の外側からテープを貼ります。ここが基準です。

これだけで「1週間でどれだけ減るか」が目で分かるようになります。地味ですが、蒸発量を意識する習慣がつくのがいちばんの効果です。

ステップ3:週に1回、同じ曜日に3つ記録する

記録するのは次の3つだけです。

  1. 基準線から何cm下がったか
  2. 飼育水のTDS
  3. 水温

ここでひとつ、絶対に守ってほしいことがあります。

足し水をする前に測ってください。

足したあとに測ると薄まった数字が出るので、濃縮が進んでいても気づけません。測る→足すの順番を固定してください。この順番を間違えると、4週間の記録が無駄になります。

ステップ4:記録表

そのまま使える形にしました。印刷するか、スマホに写して使ってください。

測定日水位の低下TDS(足し水前)水温水換えの有無
/ (基準)0cm  ppm  度済
  /   cm    ppm  度
  /   cm    ppm  度
  /   cm    ppm  度
  /   cm    ppm  度
足し水に使う水のTDS:  ppm(最初に1回だけ測定)

ステップ5:判定する

4週間ぶんが埋まったら、TDSの列だけを見てください。

記録の様子判定やること
ほぼ横ばい(±5ppm以内)問題なし今の管理を続ける
毎週じわじわ上がる濃縮している下の対処へ
4週間で10ppm以上上昇対処が必要下の対処へ
160ppmを超えたすぐ動く水換えを前倒し
下がっている水換えが効いているそのままでOK

1回だけの測定では分かりません。並べて初めて傾きが見えるタイプの変化です。

上がっていたときの対処

1. 冬も水換えをサボらない(これが本筋)

いちばん効くのはこれです。週1回、5分の1。通年と同じで構いません。

そもそも濃縮が進むのは「水換えをせず足し水だけで済ませている」ときです。水換えをしていれば、溶存物の総量が減るので積み上がりません。

冬の水換えには温度合わせという別の難しさがあります。換え水と飼育水の差はプラスマイナス1度以内。冬の水道水は5〜10度まで下がるので、夏より慎重に合わせてください。やり方は水換え術の記事にまとめています。

2. 急に下げようとしない

170ppmまで上がっていた、と分かると一気に戻したくなります。ここが危険です。

レッドビーにとっては、高いTDSそのものより急激な変化のほうが危険です。大量の水換えで一度に戻すと、脱皮不全や脱卵を誘発します。

5分の1の水換えを、数回に分けて戻してください。1週間で10ppm程度のペースを目安にすれば安全です。上がるのに1か月かかったものを、1日で戻す必要はありません。

3. 足し水の水を変える

足し水をRO水や純水に替えると、TDSの加算がゼロになります。先ほどの試算と同じ条件でも、飼育水のTDSは140ppmのまま動きません。蒸発で失われた「水だけ」を正確に戻すからです。

ただし注意があります。RO水はミネラルもゼロなので、水換え用に使う場合はミネラルの添加が別途必要です。蒸発ぶんの足し水に限って使うのであれば、添加は要りません。水が減った分を水で戻しているだけだからです。

4. 蒸発そのものを減らす

方法効果注意点
フタをする大きい密閉しない。酸素とガス交換のため隙間を残す
暖房の風向きを変える大きい水面に直接当たっていないか確認する
水槽の置き場所を変える中窓際とエアコンの正面は避ける
加湿器を使う中部屋の乾燥が和らぐと蒸発も減る

エアコンの風が水面に当たっている場合、冬なのに冷却ファンを回しているのと同じ状態です。まずここを確認してください。

ついでに見ておきたい2つのこと

加温しているなら、冬でも餌を減らさない

「冬は餌を2〜3割減らす」とよく言われます。これは無加温が前提の話です。

餌を減らす理由は、水温が下がってエビの代謝が落ち、食べる量が減るからです。ヒーターで24度を維持しているなら、代謝は落ちていません。減らす理由がないどころか、抱卵中のメスや稚エビには足りなくなります。

判断するのはカレンダーではなく水温です。20度を下回るなら減らす、22〜24度を保てているなら通常どおり。詳しくは餌の完全ガイドをどうぞ。

水位の低下は、ヒーターの空焚きにつながる

これは水質とは別の、もっと切実な話です。

東京消防庁の資料によると、観賞魚用ヒーターによる火災54件のうち34件(63%)が空焚きによるもので、その多くが「水位が下がったことに気づかなかった」ケースです。発生時期は10月から4月に集中しています。

空気中ではヒーターの表面温度が700度以上に達することがあり、水槽のフチや可燃物に触れていれば着火します。

つまり冬の蒸発を放置することは、水質の問題であると同時に火災のリスクでもあります。ステップ2で水位にテープを貼る作業は、TDS管理のためだけではありません。

あわせて、水換えのときは必ずヒーターの電源を抜いてから水を抜いてください。通電したまま水位を下げると、その場で空焚きになります。

よくある質問

Q. 冬は水換えの回数を減らしてもいいですか?

減らさないでください。むしろ冬は足し水でごまかしやすいぶん、意識して週1回を守る必要があります。回数を減らすなら、TDSを測って横ばいであることを確認してからにしてください。

Q. 足し水はカルキ抜きした水道水でいいですか?

問題ありません。ただしその水のTDSが水槽に加算されていくことは把握しておいてください。まず一度測って、自分の地域の水道水が何ppmなのかを知るところからです。

Q. フタをすれば蒸発は止まりますか?

減りますが、止まりはしません。そして密閉してはいけません。酸素の取り込みと二酸化炭素の排出ができなくなります。隙間を残したフタで、蒸発を抑えつつガス交換は保ってください。

Q. TDSが高いまま安定していたら、そのままでいいですか?

安定しているならすぐに崩れることはありませんが、130〜150ppmに戻すほうが無難です。ゆっくり下げてください。急な変化のほうが危険なので、焦らないことが大事です。

Q. TDSメーターがなくても分かりますか?

残念ながら分かりません。濃縮は見た目にまったく現れないので、測定以外に検出する手段がありません。逆に言えば、メーター1本あれば確実に分かるということでもあります。

まとめ

冬のTDS管理のポイントを整理します。

  • 蒸発するのは水だけ。溶けているものは水槽に残る
  • 足し水は薄めているだけで、総量は減らない。しかも足し水のTDSが加算される
  • 冬は加温と乾燥で蒸発が速いのに、夏と違って警戒していない
  • 測る→足すの順番を守る。足した後では分からない
  • 週1回5分の1の水換えを冬も続けることが、いちばんの対策
  • 急に下げない。1週間で10ppm程度のペースで
  • 水位の低下は火災のリスクでもある。テープを貼って毎週確認する

冬は水温が安定するぶん、管理の「見えない部分」が動く季節だと考えています。水温計だけを見ていると気づけません。

我が家も今シーズンが群れを増やしてから初めての冬です。同じように水位とTDSの記録を始めたので、データが揃い次第この記事に追記します。

季節ごとの管理は秋の管理術、停電など冬に備えておきたいことは水槽の停電対策にまとめています。

それでは、素敵なアクアリウムライフを🦐🌿

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